JR西日本執行役員 痴漢報道事件
匿名(JR西日本執行役員・当時56歳)
2012年12月21日朝、JR阪和線の車内で女子高校生が痴漢被害を訴え、天王寺駅で下車した男性が居合わせた男性会社員に取り押さえられ、大阪府警天王寺署に大阪府迷惑防止条例違反の疑いで現行犯逮捕された。男性はJR西日本の執行役員(当時56歳)であり、警察発表を受けて翌22日夕方から在阪テレビ各局が、23日朝刊では新聞各紙が、実名および過去の映像・顔写真を用いて一斉に報道した。男性は「腕が当たったかもしれないが痴漢はしていない」として一貫して容疑を否認していた。23日、裁判所が勾留を認めなかったため釈放され、捜査は任意に切り替えられた。24日に天王寺署で任意の事情聴取を受け、26日にも再度の聴取が予定されていたが、25日、男性は大阪市内の公園で死亡しているのが発見された。遺書とみられる封書が残されており、警察は自殺とみている。起訴には至らず、嫌疑の当否について司法判断が示されることはなかった。
被害を申告した女子生徒は、2年ほど前から同じ人物に複数回痴漢されたと供述しており、捜査関係者はその供述を虚偽とみていない。本サイトは本件について、嫌疑が誤りであったとも正しかったとも判断しない。本件を掲載するのは、有罪・無罪の判断が示される前に、捜査機関の発表に基づく実名報道によって社会的信用の喪失という回復困難な不利益が確定してしまう構造を記録するためである。
週刊現代は事件直後の2013年1月、各報道機関に実名報道の判断根拠を取材している。読売新聞は容疑者が社会的地位の高い企業の役員であり社会性が高いこと、毎日放送は社会性の高さから実名相当と判断したことを回答した一方、回答を控えた社もあった。逮捕段階の実名報道と、その後に司法判断が示されないまま当事者が死亡した場合に、報道された側の名誉回復手段が事実上存在しないという問題を示す事例である。
2012年12月21日朝、JR阪和線の車内で女子高校生が痴漢被害を訴え、天王寺駅で下車した男性が居合わせた男性会社員に取り押さえられ、大阪府警天王寺署に大阪府迷惑防止条例違反の疑いで現行犯逮捕された。男性はJR西日本の執行役員(当時56歳)であり、警察発表を受けて翌22日夕方から在阪テレビ各局が、23日朝刊では新聞各紙が、実名および過去の映像・顔写真を用いて一斉に報道した。男性は「腕が当たったかもしれないが痴漢はしていない」として一貫して容疑を否認していた。23日、裁判所が勾留を認めなかったため釈放され、捜査は任意に切り替えられた。24日に天王寺署で任意の事情聴取を受け、26日にも再度の聴取が予定されていたが、25日、男性は大阪市内の公園で死亡しているのが発見された。遺書とみられる封書が残されており、警察は自殺とみている。起訴には至らず、嫌疑の当否について司法判断が示されることはなかった。 被害を申告した女子生徒は、2年ほど前から同じ人物に複数回痴漢されたと供述しており、捜査関係者はその供述を虚偽とみていない。本サイトは本件について、嫌疑が誤りであったとも正しかったとも判断しない。本件を掲載するのは、有罪・無罪の判断が示される前に、捜査機関の発表に基づく実名報道によって社会的信用の喪失という回復困難な不利益が確定してしまう構造を記録するためである。 週刊現代は事件直後の2013年1月、各報道機関に実名報道の判断根拠を取材している。読売新聞は容疑者が社会的地位の高い企業の役員であり社会性が高いこと、毎日放送は社会性の高さから実名相当と判断したことを回答した一方、回答を控えた社もあった。逮捕段階の実名報道と、その後に司法判断が示されないまま当事者が死亡した場合に、報道された側の名誉回復手段が事実上存在しないという問題を示す事例である。
- 事件発生
- 2012年
- 被告人
- 匿名(JR西日本執行役員・当時56歳)
- 判決
- 起訴に至らず、司法判断は示されていない
- 現在のステータス
- 報道被害
- 冤罪の原因
- 痴漢冤罪の構造、犯人視報道、報道被害
タイムライン
午前7時半ごろ、JR阪和線の車内で高校3年の女子生徒(17)が痴漢被害を訴え、近くにいた男性会社員(24)に助けを求めた。天王寺駅で下車した男性を会社員がホームで取り押さえ、大阪府警天王寺署が大阪府迷惑防止条例違反の疑いで現行犯逮捕した。男性は取り押さえられた際から容疑を否認していた。
大阪府警の記者クラブへの発表を受け、22日夕方のニュースからテレビ各局が、翌23日の朝刊で新聞各紙が一斉に報道した。実名に加え、過去の映像や顔写真が用いられ、スポーツ紙は顔写真を掲載した。当時、男性は身柄を拘束されており、報道された内容を知る状態になかった。
裁判所が勾留を認めなかったため釈放された。捜査は任意に切り替えられた。二日ぶりに帰宅した男性は、この時点で自身が実名・顔写真つきで報道されていたことを知ったとされる。
天王寺署で任意の事情聴取を受けた。26日に再度の聴取が予定されていた。
同日午前に自宅を出たまま所在が分からなくなり、家族が捜索願を提出。同日夜、大阪市内の公園で死亡しているのが発見された。家族らにあてた封書が残されており、警察は自殺とみている。嫌疑の当否について司法判断が示されることはなかった。
週刊現代が、逮捕段階での実名報道に踏み切った各社にその判断根拠を取材。読売新聞は容疑者が社会的地位の高い企業の役員であることを、毎日放送は社会性の高さを理由に挙げた。回答を控えた社もあった。