コストコ多摩境店駐車場崩落事故
匿名(1級建築士・構造設計事務所代表)
2011年3月11日の東日本大震災で、東京都町田市のコストコ多摩境店の駐車場スロープが崩落し、2人が死亡、6人が負傷した事故。警視庁はスロープの構造設計を担当した1級建築士と設計の総括責任者ら計4人を書類送検したが、東京地検立川支部は2013年12月、建築士1人だけを業務上過失致死傷罪で起訴し、他の3人は嫌疑不十分で不起訴とした。検察は当初「設計ミス」を主張したが、弁護側の反論を受けて公判途中で「設計内容を関係者に適切に説明しなかった」と主張を変更。一審の東京地裁立川支部は説明義務違反の過失を認め禁錮8月・執行猶予2年としたが、2016年10月の控訴審で東京高裁(井上弘通裁判長)は「建築士は設計変更を書面で総括責任者らに伝えており、説明義務は果たしていた。むしろ総括責任者にも同等の責任があり、前任の建築士にはより大きな責任がある」と指摘して逆転無罪を言い渡した。無罪確定を受けて東京地検は異例の再捜査に乗り出し、高裁が責任を指摘した3人について改めて捜査したが、2017年7月に「当初の判断を覆すだけのものはなかった」として再び不起訴とした。結果として、2人が死亡した重大事故にもかかわらず誰も刑事責任を負わないまま捜査は終結した。弁護団は「起訴すべき人間を起訴すべきだ。真相が分からないままだと遺族が納得しないのではないか」と述べている。なお、別途提起された民事訴訟では、建築士の事務所を含む設計3社の過失が認定され約7億円の賠償が命じられている。検察の不当な起訴判断が、真に責任を負うべき者への刑事責任追及の機会を失わせた事例。
2011年3月11日の東日本大震災で、東京都町田市のコストコ多摩境店の駐車場スロープが崩落し、2人が死亡、6人が負傷した事故。警視庁はスロープの構造設計を担当した1級建築士と設計の総括責任者ら計4人を書類送検したが、東京地検立川支部は2013年12月、建築士1人だけを業務上過失致死傷罪で起訴し、他の3人は嫌疑不十分で不起訴とした。検察は当初「設計ミス」を主張したが、弁護側の反論を受けて公判途中で「設計内容を関係者に適切に説明しなかった」と主張を変更。一審の東京地裁立川支部は説明義務違反の過失を認め禁錮8月・執行猶予2年としたが、2016年10月の控訴審で東京高裁(井上弘通裁判長)は「建築士は設計変更を書面で総括責任者らに伝えており、説明義務は果たしていた。むしろ総括責任者にも同等の責任があり、前任の建築士にはより大きな責任がある」と指摘して逆転無罪を言い渡した。無罪確定を受けて東京地検は異例の再捜査に乗り出し、高裁が責任を指摘した3人について改めて捜査したが、2017年7月に「当初の判断を覆すだけのものはなかった」として再び不起訴とした。結果として、2人が死亡した重大事故にもかかわらず誰も刑事責任を負わないまま捜査は終結した。弁護団は「起訴すべき人間を起訴すべきだ。真相が分からないままだと遺族が納得しないのではないか」と述べている。なお、別途提起された民事訴訟では、建築士の事務所を含む設計3社の過失が認定され約7億円の賠償が命じられている。検察の不当な起訴判断が、真に責任を負うべき者への刑事責任追及の機会を失わせた事例。
- 事件発生
- 2011年
- 被告人
- 匿名(1級建築士・構造設計事務所代表)
- 判決
- 一審:禁錮8月・執行猶予2年(2016年2月、東京地裁立川支部、求刑禁錮1年6月)→ 控訴審:逆転無罪(2016年10月13日、東京高裁・井上弘通裁判長)→ 無罪確定
- 現在のステータス
- 無罪確定。他の関係者3名も再捜査の末に不起訴 → 誰も刑事責任を負わず終結
- 冤罪の原因
- 検察の暴走、客観的証拠の欠如
タイムライン
東日本大震災(震度5弱〜5強)でコストコ多摩境店の駐車場スロープが崩落。2人が死亡、6人が負傷
警視庁が建築士と総括責任者ら計4人を書類送検。東京地検立川支部は構造設計を担当した1級建築士だけを業務上過失致死傷罪で起訴し、他の3人は嫌疑不十分で不起訴
東京地裁立川支部が「設計変更を総括責任者に確実に伝えなかった過失」を認定し有罪判決。検察は当初「設計ミス」と主張したが弁護側の反論で「説明義務違反」に変更していた
東京高裁(井上弘通裁判長)が「建築士は設計変更を書面で伝えており説明義務は果たしていた。むしろ総括責任者にも同等の責任があり、前任の建築士にはより大きな責任がある」として逆転無罪
検察が上訴せず無罪確定。高裁が責任を指摘した総括責任者ら3人について、東京地検が異例の再捜査に着手
東京地検が3人を嫌疑不十分で再び不起訴。「当初の判断を覆すだけのものはなかった」。書類送検された4人全員の刑事責任が認定されず捜査終結
東京地裁の民事訴訟で、刑事無罪となった建築士の事務所を含む設計3社の過失が認定され、約7億円の賠償が命じられた。施工者は過失なし