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北九州爪ケア事件

看護師

2007年6月、福岡県北九州市の療養型医療施設の看護師が、脳梗塞等で入院中の高齢患者(当時89歳、2007年6月11日処置)およびクモ膜下出血後遺症等で入院中の高齢患者(当時70歳、2007年6月15日処置)に対し、肥厚した足の爪を爪切り用ニッパーで切除し、絆創膏ごと爪を取り去ったなどとして傷害罪で逮捕・起訴された。看護師は当初から「患者の爪がシーツ等に引っかかって出血することを防ぐための看護ケアだ」と主張していたが、病院は2007年6月25日に「看護師が患者の爪を剥いでいる」と記者会見し、連日「爪剥ぎ看護師」と報道された。日本看護協会は2007年10月4日に「虐待ではなく看護ケア」との見解を発表したが、検察官は同月31日にもう1名の患者への傷害で追起訴した。2009年3月31日、福岡地裁小倉支部は看護師の捜査段階の供述調書を信用できるとし、懲役6月・執行猶予3年の有罪判決。しかし2010年9月16日、福岡高裁は「捜査段階の供述調書は、被告人の真意を反映せず、捜査官の意図する内容になるよう押し付けられ、あるいは誘導されたものとの疑い」があるとして信用性を否定した上で、各右足親指の爪を深く切除した行為については傷害罪の構成要件には該当するものの、「看護目的でなされ、看護行為として必要性があり、手段・方法も相当といえる範囲を逸脱しない正当業務行為」として違法性阻却、もう1指の爪を絆創膏ごと取り去った点は傷害の故意なしとして、第一審を破棄し無罪を言い渡した。検察は上告を断念し無罪確定。医療・看護行為への過剰な刑事介入、捜査官による供述誘導・犯人視報道の問題を浮き彫りにした事例。

逮捕年
2007
無罪確定年
2010
期間
3年
確定判決
一審:懲役6月・3年間刑執行猶予(2009年3月31日、福岡地裁小倉支部) → 控訴審:逆転無罪(2010年9月16日、福岡高裁、確定)
都道府県
福岡県
地域
九州・沖縄
捜査機関
福岡県警
時代
現代
刑事手続き進行度
捜査
逮捕
起訴
一審
控訴審
上告審
確定
服役
再審
逮捕起訴一審有罪控訴審逆転無罪
通過有罪等無罪等進行中

2007年6月、福岡県北九州市の療養型医療施設の看護師が、脳梗塞等で入院中の高齢患者(当時89歳、2007年6月11日処置)およびクモ膜下出血後遺症等で入院中の高齢患者(当時70歳、2007年6月15日処置)に対し、肥厚した足の爪を爪切り用ニッパーで切除し、絆創膏ごと爪を取り去ったなどとして傷害罪で逮捕・起訴された。看護師は当初から「患者の爪がシーツ等に引っかかって出血することを防ぐための看護ケアだ」と主張していたが、病院は2007年6月25日に「看護師が患者の爪を剥いでいる」と記者会見し、連日「爪剥ぎ看護師」と報道された。日本看護協会は2007年10月4日に「虐待ではなく看護ケア」との見解を発表したが、検察官は同月31日にもう1名の患者への傷害で追起訴した。2009年3月31日、福岡地裁小倉支部は看護師の捜査段階の供述調書を信用できるとし、懲役6月・執行猶予3年の有罪判決。しかし2010年9月16日、福岡高裁は「捜査段階の供述調書は、被告人の真意を反映せず、捜査官の意図する内容になるよう押し付けられ、あるいは誘導されたものとの疑い」があるとして信用性を否定した上で、各右足親指の爪を深く切除した行為については傷害罪の構成要件には該当するものの、「看護目的でなされ、看護行為として必要性があり、手段・方法も相当といえる範囲を逸脱しない正当業務行為」として違法性阻却、もう1指の爪を絆創膏ごと取り去った点は傷害の故意なしとして、第一審を破棄し無罪を言い渡した。検察は上告を断念し無罪確定。医療・看護行為への過剰な刑事介入、捜査官による供述誘導・犯人視報道の問題を浮き彫りにした事例。

事件発生
2007
被告人
看護師
判決
一審:懲役6月・3年間刑執行猶予(2009年3月31日、福岡地裁小倉支部) → 控訴審:逆転無罪(2010年9月16日、福岡高裁、確定)
現在のステータス
無罪確定
冤罪の原因
自白強要、法令解釈の問題、医療・介護の刑事化、犯人視報道
支援
日本弁護士連合会

タイムライン

事件不利有利手続事後
2007.06.111人目の患者への処置

脳梗塞等で入院中の患者(当時89歳)について、肥厚した右足親指の爪を爪切り用ニッパーで切除。後に本件処置は2007年10月31日付起訴状の公訴事実となる

2007.06.152人目の患者への処置

クモ膜下出血後遺症等で入院中の患者(当時70歳)について、右足中指の絆創膏を剥がす際に爪が取れ、右足親指の肥厚した爪を爪切り用ニッパーで切除。本件処置は2007年7月23日付起訴状の公訴事実となる

2007.06.25病院記者会見・「爪剥ぎ看護師」報道

病院が「看護師が患者の爪を剥いでいる」との記者会見を実施。以後、連日連夜「爪剥ぎ看護師」との報道が続く

2007.07.02看護師 逮捕

2人目の患者に対する傷害容疑で看護師が逮捕

捜査:福岡県警
2007.07.23起訴(2人目の患者分)

傷害罪で起訴

2007.10.04日本看護協会が見解発表

日本看護協会が事実関係を調査し「虐待ではなく看護ケアである」との見解を発表

2007.10.31追起訴(1人目の患者分)

日本看護協会の見解発表後も、検察官が1人目の患者に対する傷害罪で追起訴

2009.03.31一審 懲役6月・執行猶予3年

福岡地裁小倉支部が、看護師の捜査段階における供述調書の信用性を肯定し、両患者に対する傷害罪の成立を認めて懲役6月・3年間刑執行猶予の有罪判決

2010.09.16控訴審 逆転無罪

福岡高裁が第一審を破棄し無罪を言い渡し。捜査段階の供述調書について「被告人の真意を反映せず、捜査官の意図する内容になるよう押し付けられ、あるいは誘導されたものとの疑い」があるとして信用性を否定。各右足親指の爪の深い切除は傷害罪の構成要件に該当するが「看護目的でなされ、看護行為として必要性があり、手段、方法も相当といえる範囲を逸脱するものとはいえない」として正当業務行為による違法性阻却を認定。絆創膏ごと爪を取り去った点は傷害の故意なしと判断

2010.10無罪確定

検察官が上告を断念し、無罪が確定

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